新入社員研修のイロハは「バカボンのパパ」に聞くのだ!

バカボンのパパはすごいのだ。天才赤塚不二夫氏のクリエイションである「バカボンパパ」はその生きざま自体が、禅的要素が高いことでも良く知られています。

そして、考えてみてください。今、経営者や管理職にいる世代がまさに「天才バカボン世代」です。

新入社員の若者たちが入社してくるこの季節、バカボンパパの生き方、考え方の軸に、新しきを柔軟に受け入れることにストレスを感じない大人のヒントが……あるのだ。

 

タリラリラーンと辞めないでほしいのだ

『バカボンのパパと読む老子』ドリアン助川著 角川文庫』

新入社員を迎える側にある人にこそ、読んでいただきたいテキストブックがこちらです。この本はまさに先輩社員向け。新しきを受け入れ、成熟し、さらなる進化を導いていく立場にある人のための教科書として推薦します。

厚生労働省の調査では、新卒社員の約12%が1年以内に、さらに約32%が3年以内に離職するという結果が出ています。
※参照:新規学卒就職者の離職状況(平成 27 年3月卒業者の状況)

せっかく入社した社員を手放したくないからこそ、新入社員教育や研修を、結構なお値段と大層な時間をかけて行うわけですが、即戦力どころか、即行で退職してしまうことも多いのが現実です。

業界や会社によって異なりますが、採用者1人当たりにかかる採用コストの平均は46.1万円(※1)、教育や研修コストの1人あたりの平均は約23万(※2)。雇って教えて合計約70万円。新入社員が1年で辞めた場合のマイナスコストは400万円とも言われています。

※1:2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査
※2:2014年度 大卒・大学院卒新入社員教育の実態調査

コストの問題のみならず、新入社員がタリラリラーンと気軽に辞めてしまうことの弊害は、残っている社員、やがては会社経営そのものへと連鎖していくことは明らかです。

自分を偉そうに見せないことが偉いのだ

『バカボンのパパと読む老子』は、老子の説いた「道(タオイズム)」を、パパの言葉で日常的な実践レベルにして解説したもの。その内容が、漢詩、日本語、パパ語の3段階に訳されています。分かりやすいのはもちろん、優しく腑に落ちてくるものです。そもそもコミュニケーションとはそうあるべき。

【是を以って聖人は方にして而も割かず、廉にして而も劌らず、直にして而も肆ならず、光ありて而も耀かず】

こんな難しい教えを、バカボンパパは、

「どえらい人は自分の判断が正しいと思っても他人の善し悪しを決めたりせず、頭の回転が速くてもそのことで他人をいじめたりしないのだ。まっすぐな考えを持っていても他人にその通りにしろとは言わず、知恵があってもそれをひけらかそうとしないので、自分は特に偉そうに見えないのだ。これでいいのだ」

と、さらっと説いてしまいます。信頼関係の構築とコミュニケーションの基盤と、指導側に立つ人のあるべき姿が、まさにこの一節に凝縮されています。

「新人研修」でキーワード検索をすると、「社会人としての基礎」「コミュニケーション能力」というコピーが軒並み現れ、笑顔で拳を掲げるスーツ姿の若者たちの写真が出てきます。

どのコピーもビジュアルも似通りすぎていて恐ろしくもなりますが、今の日本の社会、企業、そしてあなた自身は新入社員に何を望んでいるのでしょうか。社会人としての恥ずかしくない基礎知識? 好感を呼ぶビジネスマナー? 何といってもコミュニケーション能力? 人に何かを望む前に、我が振り直せ、と言っておきます、念のため。

指導者側に立つ義務や責任感から、「これが正しいやり方、考え方」「うちの会社のやり方」という決め付けや押し付けをしてしまいがちにもなります。さらには相手に自分の理想通りの答えや反応を求めすぎることにもなり、入社早々にして双方の信頼関係が構築できない状態ができあがってしまうのは、経営戦略としてもマイナスの第一歩となってしまいます。

GAFAでもやっていることは同じなのだ

GAFA(ガーファ)とは、Google、Apple、Facebook、Amazonの4社の頭文字を取って称される、世界時価総額ランキングの上位を占める企業であり、世界中のビジネス、企業がGAFAのサービスをプラットフォームにしています。いわゆる「勝ち組企業」です。

これらの勝ち組企業が、いち早く経営戦略として取り入れて成功した「Mindfulnessマインドフルネス」を基盤にしたマネジメントスタイルが、今日本でも徐々に注目されるようになってきました。このマインドフルネスの経営戦略では、ビジネス利益を作り出すために、最強かつ必要不可欠なモノは

【思いやり/Compassion】

であると言い切っています。GAFAはまた、企業の未来を託す優秀なリーダーの資質に最も重要な要素として、「思いやり/Compassion」を挙げているのです。

「なんでこんなこともできないの?」
「言ってる意味わかる?」
「ちゃんと考えた?」
「前にも言ったよね」
「使えないなあ」
「もういい」

これらは『上司に言われてやる気をなくした言葉集(HR NOTE)』の一部です。生産性の無さは思いやりの無さと正比例しているのです。

いつの時代でも新入社員が入ってくれば必ず直面するジェネレーションギャップの問題も、ダイバーシティの概念の一部として捉えていけば解決策は出てきます。そもそも、人間は一人ひとりがまったく違う存在なのです。「思いやり/Compassion」のあり方で、職場環境も企業文化も変わっていくはずです。

わしの思うようにはならないのだ
でも、わしは大丈夫なのだ
わしはいつでもわしだから大丈夫なのだ
あなたもあなたで、それでいいのだ
バカボンパパ

マナー研修の前に「心の研修」なのだ

新人研修では必ず「ビジネスマナー」「社会人としてのマナー」の項目が設けられます。行儀や所作、言葉遣いを勉強する前に、本来マナーとは「社会の中で人間(自分も人も)が気持ちよく生活していくための“知恵”」だということを、指導する側も受ける側も再確認しておきたいものです。

ビジネスマナーとして習得すべしとされている、身だしなみ、表情態度、言葉遣い、挨拶、お辞儀の仕方、名刺の渡し方、ほか。すべては、「他者を気遣う」という、「思いやりの心」を所作として分かりやすく形式化したものです。思いやりはすべてに通じる最強の人間力。そこが落とし込めれば、マナー習得はむしろ楽しいものになっていくでしょう。

挨拶の仕方を教えるにも、自分自身が「人はなぜ挨拶をするのか、なぜコニャニャチワしたくなるのか」という問いに即座に答えられるか。あらためて自分自身の考えをまとめてみると、その意味の深さがわかるのです。

新人研修が「社会人としての基礎を習得させる」から「新しきを受け入れ、成熟し、さらなる進化を導く大人の知恵の共有」に変わるなら、日本の会社はどんどん面白くなっていくことでしょう……これでいいのだ。

 

 
 

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