働き方の多様性を追求するベンチャー企業が、「褒めない」コミュニケーションを行う理由

株式会社Flucleは人事労務サポートを行っているの会社なので、さぞ丁寧な人事制度や、メンバーのモチベーションアップのための仕組みがあるのではないか…と思われていそうですが、実際はそんなことはありません。

まだまだ10人程度のベンチャーによくある「しっちゃかめっちゃか」な組織で、決してスマートなノウハウがあるわけでも、明文化された社内規範があるわけでもないのです。しかし、社内コミュニケーションにはちょっとした特徴があります

今回は、就業規則をはじめとして、労務管理に関する「ルールづくり」のためのサービスを生み出している株式会社Flucleの、社内コミュニケーションについて書かせていただきます。

目次

スローガンは、白も黒も含んだうえでの「カラフル」

株式会社Flucleのスローガンは、「働くをカラフルに」。「働くを明るく」でも、「働くをキラキラに」でもなく、あえてカラフルというワードを選んでいます。

このスローガンには、働き方にはいろいろな色があっていいよ、という気持ちを込めました。

カラフルには、白もグレーも、ときに黒も含まれます。最近はブラック企業という単語が一般化してしまいましたから、「働く」と「ブラック」を結び付けるとネガティブなイメージが浮かんでしまいますが、黒だって立派な色です。

全員が赤やオレンジやえんじ色であれば、確かに一見カラフルには見えますが、それは単なる「赤の仲間の集まる会社」であり、結局「赤い人しか馴染めない」という結果になってしまうはず。そうではなく、どの色であっても自分の選択した方法で働けるような社会を目指しています。

単色のクレヨンの箱では、意味がない

ただし、ルールの未整備や無知、搾取などによって「ブラックな働き方」に染まってしまうのは、当然よくありません。また、自分のライフステージに合わせて違う色に変われない組織であっては、カラフルの意味がありません。

「今まで黄色だったけど、来年からは青にしたい」という人に、「うちは黄色系でしょ…空気読んでよ」「社長が青は嫌いだから」などといわれるのであれば、その組織は、パッケージはカラフルであっても、ふたを開けたら単色しか入っていないクレヨンの箱と同じです。

だからこそ、さまざまな人が、同じ権利を持って働き、ライフステージや自分の意思で色を選ぶための「ルール」の整備が大切だという意識のもと、サービス開発をしています。

「褒めない」というコミュニケーションポリシー

さまざまな色を持つ人が集まる以上、ミッションや価値観の理解は、組織運営の必須項目です。

株式会社Flucleではフルリモートワークを導入しているため、コミュニケーションは積極的に取る必要があります。そのため月1回の全員参加の経営会議、自然の中で行う経営合宿などで、ビジネスの話だけではなく、「その人の価値観」や「どう生きていたいか、この会社で何をしてみたいか」について語り合う機会を設けています。半年前からは1on1ミーティングも始めました。

その中で、ひとつ特徴的なコミュニケーションポリシーがあります。
それは、相手を「褒めない」こと

これだけ書くと誤解を生みそうですが(実際社内でも、当初は「どういうこと!?」「褒めるのが苦手だからって、それはないんじゃない?」と散々突っ込まれました)、決して相手を突き落としたいわけでも、けなすことで洗脳したいわけでもありません。

「褒めて伸ばす」はその場しのぎにしかならない

先月のコラムは、「パワハラはルールで縛れるか? 注意すべきは役職と権力が紐付いた組織」というタイトルで投稿しました。

その中でも書きましたが、今の日本の階層構造社会で気を付けたいのは、「褒める・叱る」という行動です。両方とも人材育成の現場では必要とされていますが、褒めるも叱るも上下関係がないと発生しない行動だからです。

たとえば「田中さん、よくやった!本当にいい子だ!」という褒め言葉、あなたは同じ言葉を社長に向かって言えますか?言えませんよね。これこそ、褒め言葉は上下関係の中でしか通用しないことの証。つまり、「あいつが帰ってきたら褒めてやろう」と、「あいつは下の階級だから、叱ってもけなしてもいいだろう」の根本は同じなのです。

それを混同すると、「褒めて伸ばす」という、その場しのぎの対処療法を繰り返し、相手のご機嫌をうかがうようなコミュニケーションばかりになってしまいます。

自己肯定感を他人に委ねることの弊害

必要なのは、「褒め」ではなく、事実を認めること

「田中さんには、こんなスキルがある。いい結果を出していますね」は、褒めではなく事実の承認です。この言葉なら社長にも置き換えられますよね。「社長にはこんなスキルがあって、素晴らしい結果を出し続けていますね」という言葉に違和感はないはずです。

褒められると、自己肯定感が一時的に満たされます。それは当たり前で、悪いことではありません。しかし自己肯定感を上げるために人からの「褒め」を求めはじめると、その人の行動は他人に依存します

そもそも、「自己肯定感を高めるために、褒める/褒めを強要する」という行動は、自己の肯定感なのに他者に判断を委ねている時点ですこし歪んでいます。さらに、部下を褒めることでしかコントロールできない上司は、そのうちネガティブなフィードバックができなくなります。そうなると部下育成どころではありません。

しかし、これからの社会で、「上司に褒められるから」仕事をする人に、価値はあるでしょうか?人数の小さな会社では、正直そんなことはやっていられません。

現場課題はコミュニケーションで解決できる

だから株式会社Flucleでは、相手の「色」を認め合い、同じスローガンに向かって仕事を進めるためにも、「褒め」で相手を伸ばさないことにしています。相手の頑張りやスキル、アイデアや生き方などに「いいね!」と思ったら、そのまま「いいね!」と伝え、認め合えばいいからです。

パワハラであっても、部下育成であっても、現場課題のほとんどはコミュニケーションで解決できます。そのとき、知らずしらずのうちに「相手を組織の色に染めようとする」「褒めることでしかコミュニケーションが取れない」という行動を取っていては、多様性のある会社なんてつくれるはずがありません。

相手の価値観を知り、認め合いの言葉をかけあう。それだけでも、「カラフルな働き方」は実現に近づくのではないでしょうか。

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