VUCA(ブーカ)の時代に求められる新卒教育とは?

2017年くらいから「今はVUCA(ブーカ)の時代になっている」と言われるようになりました。

VUCA(ブーカ)とは、「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」の頭文字をとった言葉で、これらの要因により「社会や経済の環境が極めて予測困難な状況になっている」ということを表しています。噛み砕いて言うと、「めっちゃ変化がはやくて、色々複雑で確実なものがなく、先が全然読めなーい」ということです。

2020年4月の今まさに、世界中が、新型コロナウイルスの問題によって未来予測の難しさに困惑している状況かと推測されます。
そんな時代に、新入社員にはどういった力を身につけてもらう必要があるでしょうか?そのために、会社としてはどんな研修を実施するのが最も有効でしょうか?

予測できない未来に対応するには、唯一不変的な「バリュー(価値観、行動指針)」を指標とすべき

我々は、自社のValues(バリュー)を前面に打ち出した教育をすることだと考えます。こうした世の中では、自分達が大切にしているバリュー(価値観、行動指針)を除くと、北極星のような「指標として追い求め続けることの出来るもの」が存在しないためです。

現在の企業の状態をVUCA(ブーカ)に当てはめて考えると、
Volatility(変動):目標を決めてもドンドン変わってしまう。
Uncertainty(不確実):こうすれば上手くいく、といった確実性の高いものが無い。
Complexity(複雑):ビジネスの世界は最低でも4要素(政治、経済、社会、技術)が複雑に絡み合っている。
Ambiguity(曖昧):成功の定義、働く幸せの定義は個人によって曖昧な上、多様性が増し続けている。
このようになっています。

この予測できない未来に対応しつつ、かつ最も確率が高い努力をし続けるためには、変動してしまう目標ではなく、唯一不変的(あくまで変わりづらいという意味)であると言える「バリュー(価値観、行動指針)」を指標とすべきなのです。

トヨタ自動車の豊田章男社長も、昨年アメリカで「20年後どんな車が走っているのか予測不可能。その中で、トヨタウェイという価値観を“目指し続ける北極星”としている。」とスピーチしています。
また、目標によるマネジメントは終わった、という考えも出てきています。
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目標によるマネジメントはオワコン! 企業が今、バリュー経営にシフトすべき理由
https://at-jinji.jp/expertcolumn/219?fbclid=IwAR1fY2FYtustCOXzjBAcrSRZ2JLJpBdevdF4yonXV30f6T7TxPq5BUAEwEA
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1400社を超える企業の調査を経て書かれた『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則(日経BP社)』でも、Great(偉大)な企業はバリューをとにかく大事にしているというデータを紹介してますが、まさにその時代になっていると言えるのではないでしょうか。

新入社員をバリューで採用・育成し、評価する時代が来ている

こうした予測不可能なVUCAの時代では、いかに変化に対応し続けられるバリュー(価値観、行動指針)を設定できるかが重要です。またそれを発信し、共感によるマネジメントをしていく必要があります。

皆さんの会社の、新卒をはじめとした全社員に共感してもらいたいバリュー(価値観、行動指針)は何でしょうか? そしてそのバリュー(価値観、行動指針)は、評価としっかり連動していますか?

バリュー(価値観、行動指針)で採用、育成し、成果を出してもらい、評価し、最終的に働く幸せを実現してもらうという時代が来ています。

例えば、「10日後の100点より、明日の30点」というバリュー(価値観、行動指針)を掲げているA社は、それを採用時から打ち出し、日々の育成や研修によって教育し、評価と連動させるため、「正確さよりもスピード重視という行動指針に共感し体現する社員」が育っていきます。
反対に、「1のズレが100になる。正確さの追求」というバリュー(価値観、行動指針)を掲げているB社は、A社とは異なる人を採用し、教育し、評価していくはずです。

どちらが正解、というものではありません。バリュー(価値観、行動指針)は、各企業が業界や業務を踏まえ「自分達はこの考え方を大切にして仕事をしていきます」ということを言語化したものです。
したがって、A社のバリュー(価値観、行動指針)に共感する人間をB社が採用し、育成すると、当然ながら苦しい結果になる可能性が高いので注意しましょう。

VUCA時代に有効な研修は「バリュー」を前面に出し、それに共感と体現を増やす教育

まとめると、冒頭の「このVUCAと言われる時代に、会社としてはどんな研修を実施するのが最も有効でしょうか?」の正解は、
「〇〇を目指しています」「〇〇をやる仕事です」といった目標や業務内容よりも、はるかに変わりづらい「バリュー(価値観、行動指針)」を前面に出し、それに共感と体現を増やす教育である、と言うのが私達の答えです。

時代に合わせ、必要に迫られて考える必要が出てきた部分ももちろんありますが、ぜひこれを機に、バリュー浸透の仕組みづくりやバリューの教育、バリューによる採用活動、バリューに基づく評価制度、といった『バリュー経営』に本腰を入れてみてはいかがでしょうか。

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