その採用を無駄にしないために!「幸せな就職」を実現するオンボーディングとは? Vol.2

前回のコラムでは、主に中途採用で入社した社員に向けてのオンボーディングの重要性について話しました。今回のコラムでは、manebiが2020年の4月から取り組み、離職率の減少や社員エンゲージメントの向上をもたらしたオンボーディングの具体的な取り組みを共有していきたいと思います。

前回コラム:https://at-jinji.jp/expertcolumn/366

目次

  1. オンボーディング構築前に組織の土台を整える
  2. オンボーディングは、短く濃密に行う
  3. 組織の説明書は丁寧につくる
  4. 動画制作のコツ

オンボーディング構築前に組織の土台を整える

まずはオンボーディングプログラム構築に必要な下準備について説明します。
オンボーディングは、入社した方のアイデンティティやキャリアビジョンと、会社の理念や成長イメージを“すり合わせ”していく作業でもあります。そのため、最初に会社の理念や方向性が明確になっていなければ、個人の願望とすり合わせのしようがありません。
ですので、まずはオンボーディングを構築する前に、会社の法人格をはっきりとさせましょう。この法人格を明確化させる方法については、私の前回のコラム(『社員の自己実現を導く組織づくりとは』)でも触れています。特に「MVVの策定」をしっかりと行うこと。また「会社情報を透明化」して、社員が組織の目標を“自分ゴト″にできる状態にしておくこと。これによって、初めて新しい人を迎え入れる準備が整います。

参考:連載『社員の自己実現を導く組織づくりとは』を含む田島氏のコラム一覧
https://at-jinji.jp/expert/column/64

オンボーディングは、短く濃密に行う

それでは具体的にmanebiのオンボーディングプログラムについて説明していきたいと思います。
私たちはオンボーディングの期間を90日間と定めました。これは一般的によくある試用期間の日数と同じです。鉄は熱いうちに打てと言いますが、入社初期に密度高く、「組織の一員として定着させ、戦力化させる施策」を行うことが肝要ですので、短い期間にしています。以下の図ではその90日間で行うプロセスを、時系列順に並べてみました。

この図に全てを書いている訳ではありませんが、90日の間に様々な施策が行われていることが分かると思います。
このオンボーディングプログラムの中でも特にユニークな点は、「オンボーディング動画視聴」「成果発表プレゼン」、そして「全体を通した人脈形成」の3点です。まずは「オンボーディング動画視聴」から説明していきます。

組織の説明書は丁寧につくる

入社した社員には、まず組織を理解してもらうことが大切です。採用面接の段階では説明しきれなかった会社の理念やビジョン、プロダクトの意義、組織の状況などを入社後にあらためて細かく説明しましょう。そうすることで新規社員は、「この組織で自分が何をすべきか」を理解することができます。
こうした説明の重要性は、最近私自身の実体験でもより強く感じるようになりました。立場上、経営者の団体など新しいコミュニティに入ることが増えましたが、「この組織は何のために存在しているか」や「全体像はどうなっているか」を理解してはじめて自らの立ち位置ややるべきことが分かるようになるからです。逆にそういった組織の説明なしでは、ただ所属しているだけで、いつまで経っても自分が何をすべきかが見えてきません。組織の説明書は、分かりやすく丁寧であればあるほど新規社員にとって、組織のことを理解しやすくなるのです。

では、こうした会社の説明書はどのようにつくればいいのでしょうか。テキストにして配ったり、パワーポイントのスライドでまとめたりも手段としてありえますが、私たちが実践したのは“動画にして伝える”という方法でした。。

動画制作のコツ

manebiのオンボーディング動画では、私が直接、入社した方に向けてメッセージを送っています。「会社のミッション・ビジョンは何か」や「会社の歴史はどういう変遷をたどってきたのか」。また、「プロダクトに込める思い」や「入社ありがとうのメッセージ」などもトピックに分けて伝えています。

さらに、理念や歴史以外の会社説明についても動画化しています。例えば、総務担当が勤務時間や福利厚生に関して説明しているものや、各部署の担当者がそれぞれの部署の「現場紹介」をしているものもあります。長すぎても見るのが大変なので、1つあたりの時間は5分から10分ほど。すき間時間に、いつでもどこでも見られるようになっています。


【画像】プロダクト名の由来を説明している動画。こちらは自社eラーニングサービスを利用していますが、オンボーディングに予算がかけられなければ、まずはYouTubeの非公開設定等を利用しても◎!

これらの動画は、特別な編集技術も用いずスマートフォンで撮っているものがほとんどです。伝えたいメッセージさえ整理すれば、そこまで制作が難しいものではありません。ですがその反面、効果は非常に大きいと感じています。
私たちはeラーニングの会社ですので、動画の効力は熟知しています。特に想いを伝える上では、動画はテキストよりも適しています。テキストで「読んでおいてください」では味気ないですし、かといってその都度対面で説明するのでは、労力がかかりすぎたり、毎回微妙に内容が変わってしまったりする恐れがあります。そこで、動画で会社の説明書をつくることが、非常に意味を持ってくるのです。

このオンボーディングの動画は、新規社員からも評判がよく「創業者自らの声が聞けて、会社への理解が深まった」という感想や、「他の部署の現場紹介を見たことで自部署以外が何をしているかが分かった」という声が届いています。

動画は一度作ってしまえば、何度でも効力を発揮する優れものです。是非、多くの会社の方にも真似していただければなと思います。

もちろん、動画だけではなく対面のコミュニケーションで行わなくてはいけないこともあります。次回のコラムでは、いかに既存社員とのコミュニケーションの場を作るか、そして新規社員に自信を持たせるか。「人脈形成」と「成果発表プレゼン」について、詳しく説明したいと思います。

>>>第3回に続く https://at-jinji.jp/expertcolumn/381

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