仕事がデキる人事・総務のビジネスメール術(Web版)vol.4

相手を不快にさせないビジネスメールの書き方とは? 4つのマナーを紹介

メールを送ったのに返事がこない。返事がきたけれど、文面から怒っている様子が読み取れる。メールを送ってから相手の態度が悪くなった。だけど、その理由が分からない。このような経験はありませんか。もしかしたら、あなたの送ったメールが相手をイラッとさせているかもしれません。社内コミュニケーションやビジネスを円滑に進めるために、相手を不快にさせるメールは防ぎたいもの。今回は、最新の調査データをもとにビジネスメールの専門家がアドバイスをします。

目次
  1. メールを不快に感じても指摘する人は少ない
  2. 気付かぬうちに「不快なメール」を量産している可能性も
  3. 相手の「イラッ」を防ぐ ビジネスメールの4つのマナー
  4. ビジネスメールの書き方1つが仕事の成果を左右する

メールを不快に感じても指摘する人は少ない

一般社団法人日本ビジネスメール協会が2017年6月2日に発表した「ビジネスメール実態調査2017」※によると、4割を超える人が、仕事のメールで不快に感じたことがある、つまり、イラッとしたことがあると分かりました。不快に感じた内容の第1位は「質問に答えていない」(35.59%)でした。
※2007年から11年連続で行なっている日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査。2017年は4月1日から同30日までの調査で、有効回答者数は2,395人。

次に「文章が失礼」(31.96%)、「文章が攻撃的」(25.49%)、「文章が曖昧」(25.20%)、「必要な情報が足りない」(20.59%)、「メールが読みづらい」(19.22%)と続きます。しかも、不快に感じたことを相手に指摘したことがある人は21.76%で、8割近い人がイラッとしても相手には指摘をしていません。

過去一年間に仕事でメールを受け取り、不快に感じたこと不快に感じた内容不快感を相手に指摘したこと

仕事である以上、相手を不快にさせようと思って送っているわけではないけれど、受け手にとっては不快なメールになっている。意図しない解釈や受け取られ方をされ、相手はイラッとしている。しかも、メールを送った本人は、相手をイラッとさせていることに気付いていない可能性がある。それがメールの難しいところです。

気付かぬうちに「不快なメール」を量産している可能性も

社内など身内であれば指摘をしてもらえても、社外の取引先などは何も言わずにイライラを募らせているかもしれません。知らずに離れていく、悪い評判が立っているなんてこともあり得ます。

そもそも、指摘をするのは時間も手間もかかりますし、不快感のような感情的な指摘はなおさら面倒です。言わずに我慢している、諦めている人もいるでしょう。その結果、メールが不快であることが原因で、評価を下げている、信用を失っていることがあります。

不快感は募るほど修復するのが難しくなります。そのため、気付かないまま不快感を生むメールを量産している可能性があるのです。

相手の「イラッ」を防ぐ ビジネスメールの4つのマナー

ビジネスメール実態調査2017の結果から、不快感を生む要因は「文章の書き方」にあることが分かっていますので、その点を意識するだけでもメールの印象が変わります。

1.過不足なく相手の質問に答える

情報の足りないメールになってしまう原因は大きく2つ。送り手が情報を整理できていないことと、相手が必要としている情報を把握できていないことです。
だから、書いていることと相手の求めていることにズレが生まれます。追加で質問がきたり、真意を確認されたりするようなときは、情報不足なメールになっている可能性があります。

情報不足を防ぐためには、書き始める前に、「情報を集め、目的と対象に応じて情報を取捨選択して要点を絞ること」が効果的です。全ての情報を詰め込めば、論点が分からないメールになります。論点を明確にするためにも、選択と絞り込みが必要不可欠です。

2.内容・立場にふさわしい文章

内容や立場にそぐわない文章は、相手に失礼だと思われたり、攻撃的だなと感じられたりすることがあります。同じメールを見ても、人によって感じ方が違います。
例えば、「資料を送ってください」という一文も、前後の文脈から、上から目線の命令口調に感じる人もいれば、何も感じない人もいます。自分が後者のタイプであるとしても、相手が自分と同じタイプとは限りません。だからこそ、相手がどう感じるかを想像することが必要です。

自分の都合を押しつけたような表現にも注意です。「今日中に資料を送ってください」と書いたとして、忙しい相手には急な依頼になるかもしれません。今日中という期限の理由が分からなければ、受け入れ難い依頼になるかもしれません。仕事は相手と協調して行うもの。一方的な伝え方では相手に気持ちよく動いてもらえません。

3.具体性のある文章

要領を得ないメールほど困るものはありません。
曖昧さゆえに、返事が後回しにされたり、返事がもらえなかったりすることもあります。返事をもらい、相手に動いてもらいたければ、曖昧な書き方をしないこと。抽象的な表現は避けて、具体的な表現を使うだけでも曖昧さは解消されます。

1文は50文字を目安に短くして、長い文章は2つの文章に分けると文意がつかみやすくなります。メール全体の構成としては、「要旨を書いた後に詳細を書く」。そうするだけでも、読み手に要点が伝わりやすくなります。

4.「読みやすさ」を意識する

読みづらいメールは、一文が長い、改行がない、行間がないといった特徴があります。
1文を短く、句読点や文節など単語が2行にまたがらないように改行する、行間を空ける、箇条書きを使うことによって読みやすいメールに変わります。メールの読みやすさは空白によって作られます。

ビジネスメールの書き方1つが仕事の成果を左右する

メールのイラッとが仕事に与える影響は軽視できません。円滑にコミュニケーションをとることが仕事の生産性や成果を左右します。
今回紹介したポイントを押さえるだけでも、メールは大きく変わります。イラッとさせないメールの書き方については、私の近著『イラっとされないビジネスメール 正解 不正解』(サンクチュアリ出版)でも詳しく解説していますのでよろしければ参考にしてみてください。

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