落ちこぼれを作らない最強チームの作り方 第5回

「リーダーの見逃しの罪」~家族だったらと考える~

メンバーに対して「あれ、おかしいな」「もっと、こうすれば良いのに」と思うことは良くあるはずです。しかしながら、些細なことであればあるほど、日常の業務の忙しさから指摘はせずそのままにしてしまった経験は皆さんがお持ちだと思います。「小うるさい上司だ」と思われるのも嫌ですし、「まあ、この程度は……」となってしまう訳です。私たちは、こういった見逃しを、リーダーの「見逃しの罪」と言って許しません。

社内ではさまざまな言葉を使いますが「罪」という最も強い言葉で非難します。見逃しの行為が日常の些細なことであるがために、強く戒めるために「罪」という言葉を使うのです。皆さんも思い当たる節があると思いますが、私たちが実践している見逃さない経営についてご紹介します。

これまでの連載記事 https://at-jinji.jp/expert/column/102

目次

  1. 私ですら挨拶が悪いと叱られた
  2. 「家族を見逃すのは冷たいリーダー
  3. リーダーは「自らの立ち居振る舞い」も見逃さない
  4. リーダーは二つの目×人数で見られている
  5. 見逃さない=落ちこぼれをつくらない
  6. ~最後に~

私ですら挨拶が悪いと叱られた

私がタカマツハウスに入社したのは2019年10月です。その時の在籍人数は4名で、藤原社長と私、事務が2名という体制でした。私は入社して間もなく、藤原から「挨拶の仕方がなってない」と叱られました。私の朝の挨拶は座ったまま、首だけペコリの挨拶でした。前職ではそんなこと咎められたことがなかったですし、咎めたこともなかったので、さすがにムッとして「文化の違いですね」と言い返したことを今でも記憶しています。

しかし、これまでの連載でお伝えしてきたとおり、湧き上がる組織において朝の挨拶は重要です。一日のスタートを気持ちよく切ること、社員同士の元気な挨拶と笑顔から始まる朝は大切なのです。藤原社長も後日談で、それなりの立場で来てもらった役員にそんなに細かいことを言うのか迷ったが、やはり挨拶は大切。役員であろうが見逃さず注意した。と言っていました。確かに言うほうも言われるほうも気持ちの良いことではありませんが、見逃してはいけないのです。

家族を見逃すのは冷たいリーダー

リーダーが「まあ、口うるさいと思われるのも……」とならないためには、やはりメンバーを家族だと考えるべきです。

誰でも家族には幸せになってもらいたいものです。メンバーの幸せを考えれば些細な事でも指摘してあげる。本人のため、あるいは家族の幸せのためと考えるのが実践しやすいでしょう。

例えばあるメンバーの身だしなみが整っておらず、第一ボタンが外れたままで、ネクタイが緩んでいました。リーダーは目の前にいるメンバーのことですから、気付いているはずですが、どうやら指摘はしていないようです。私たちがそのメンバーの身だしなみが乱れていることに気付いたら、本人ではなくリーダーに
「ちゃんと指摘してあげなよ」と指導します。
「毎日顔を見ているからリーダーは気付くだろう」
「言ってあげなよ、かわいそうだよ」
あくまで本人ではなく、リーダーにです。そうして見逃してしまっていることに気付いてもらうのです。
「家族だと思って教えてあげなよ」
「なんだか冷たいやつだな~」
「愛がないな~」
となる訳です。

見逃しが罪なのは些細な事だけではありません。業務の成果や、社員のキャリアアップにつながる事もリーダーは見逃してはなりません。些細なことですら注意できないリーダーが、本人の力だけでは乗り越えられない困難に直面しているメンバーに、重要な気づきを与えることなどできないでしょう。

リーダーは「自らの立ち居振る舞い」も見逃さない

見逃しの罪を犯してしまう、もうひとつの要因は「自分もできていない」ことです。

リーダーができていないことをメンバーに指摘したところで、メンバーは「あなたに言われたくない」となるはずです。自分のネクタイが緩んでいて、君はネクタイが緩んでいるから直しなさいとうのは何とも滑稽で、あってはならない光景です。見逃さないことをリーダーに約束してもらうことで、リーダー自身があるべき姿で居てもらいたいのです。

誰でも成果の上がっていない時ほど仕事に対して正面から向き合いづらい状況になります。そんな状態のメンバーを仕事に向き合わせるリーダーが、仕事から逃げていては話になりません。見逃しの罪を犯さないリーダーは、自らの立ち居振る舞いも見逃してはならないのです。
一方で自分がやっているから、「君もできるだろう」は禁句です。これも前述しましたが、自分を基準に考えればチーム内には不完全なメンバーばかりが居るように思えるでしょう。メンバーひとり一人のレベルや状態に会わせて、見逃さず応援することでチームのパフォーマンスが向上するのです。

リーダーは二つの目×人数で見られている

日々報道される企業の不祥事を見ていると、リーダーの倫理観が欠落しているように思えてなりません。実際、転職を考えている候補者からは「上司が仕事もせず、社内政治やゴルフばかりしている。あんな風にはなりたくない」という現職での不満をよく聞きます。

リーダーの倫理観が欠如し、私利私欲に走ったり、ろくに仕事もせず事務所で踏ん反りかえっていては組織が湧き上がるはずもありません。

タカマツハウスでは、リーダーが上で、メンバーが下だという考え方はありません。
しかし、わかりやすい例えとして「上からは霞んで見えない。下からは二つの目×人数で見られている」と、リーダーに対して日常の行動を律するように働きかけています。
ここで大切なことは「メンバーは上司であるあなたに苦言は呈しませんが、見逃している訳ではない」ということです。
リーダーの目は2つですが、メンバーの目はメンバーの人数×2倍です。当然メンバーの目の方が多いわけです。リーダーは数多くの目が自分を見ているのだと言うことを忘れてはなりません

見逃さない=落ちこぼれをつくらない

この連載のテーマは「落ちこぼれをつくらないチームマネジメント」です。
見逃すということは落ちこぼれようとしている社員を「見逃す」ことになるのです。

メンバーは落ちこぼれたくて落ちこぼれているのではありません。自分一人の力ではどうにもできなくて、落ちこぼれて孤立していくのです。そんなメンバーを見逃さず応援してあげるのが、タカマツハウス流のチームマネジメントの真骨頂であると言えます。

~最後に~

5回にわたって「落ちこぼれをつくらない、湧き上がる組織」の実現と、それを通じての社員とお客様の幸せを追求するタカマツハウスのマネジメントについて紹介しました。

私は前職では落ちこぼれる社員に寄り添うことができず、疲弊する社員とともに自分も疲弊し落ちこぼれていく感覚を味わいました。
私の方針や指導はいつも正論で、メンバーに反論の余地すら与えませんでした。正しいことをやっているのに、なぜ成果が出ないのか? 焦る気持ちから結果にコミットするのではなく、結果のみを追求する殺伐とした組織を作り上げてしまいました。

読者の中にも私と同じような経験や、感覚を感じている方がいるはずです。責任感があって責任に向き合えば向き合うほど、同じような感覚に襲われるのではないでしょうか。

そんな読者には、この連載、そして書籍を通じて共有した「社員の幸せ」に向き合って、一人ひとりが持つ可能性に向き合ってもらいたいのです。
みんな幸せになりたいですし、みんな落ちこぼれたくはありません。
私はタカマツハウスでみんなに応援され、苦労した先に掴んだ成果で、幸せそうに微笑む社員をたくさん見てきました。幸せは全従業員で共有することで、みんなが幸せを感じるパワーになります。
皆さんが落ちこぼれをつくらない、湧き上がる組織を実現し、幸せな社員や幸せな会社を実現されることを願ってやみません。【連載終わり】

落ちこぼれを作らない最強チームの作り方 全5回
https://at-jinji.jp/expert/column/102

【編集部より】関連書籍紹介:『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』

同書は、3年で売上高191億円を実現したチームマネジメントの秘訣を紹介。「全員が一人の仲間の〝応援部隊〟となることで、四方八方からサポートが入る仕組み」を徹底して行い、落ちこぼれをつくらない最強チームが起こした数々の奇跡を記している。書籍紹介記事はこちら

著 者 :タカマツハウス株式会社 取締役・専務執行役員 金田 健也
発行日 :2024年5月1日(水)
価 格 :1,650円(税込)
発行元 :株式会社ぱる出版
ISBN978-4-8272-1446-8 C0034

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4827214468
ぱる出版:https://www.pal-pub.jp/book/b10083764.html


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