2025年人材育成トレンド予測~世界を代表するレポートから日本の人材育成トレンドを読み解く~

毎年12月になると、グローバルの研修会社、人事コンサルタント、シンクタンク、研究所などから、翌年の人材育成トレンドの見込みと予測のレポートが数多くリリースされます。一部ではありますが、以下が代表的なものです。

これらのグローバルレポートには、日本にも共通して対応が求められる人材育成のトレンドが提示されていました。2024年のトレンドは「AI活用」「マネジャーのヒューマンスキル強化」でしたが、2025年はどんなものになっているのでしょうか?

目次

  1. 要約:グローバルレポートが伝える2025年の人材育成トレンド
  2. 「The Josh Bersin Company」
  3. 「Off Beat Works L&D Trends Map」
  4. 「Actionable」
  5. クロージング

要約:グローバルレポートが伝える2025年の人材育成トレンド

2025年は「AI活用」と「ヒューマンスキル強化」が引き続き重要テーマです。
AIの導入では、業務プロセスを改革し、人とAIが協働する仕組み作りが成果向上の鍵です。また、マネジメント層のコーチング力や従業員のスキル強化を通じたエンゲージメント向上も重視されています。さらに、研修の効果を最大化するため、少人数制の導入やフォローアップ体制の強化が必要です。

それでは、各社が伝えるレポートを詳しく見ていきましょう。

「The Josh Bersin Company」

人材育成業界で有名なジョシュ・バーシン氏は、毎年興味深いトレンド予測レポートを出しています。

「2025年のHRとリーダーシップ予測と重要課題」
https://joshbersin.com/superworker/

バーシン氏のレポートはHRテクノロジーに重点を置くことが多い傾向にあり、本年も同様です。2025年を代表するテクノロジーとしてAIが紹介されており、レポートの目玉もAIと人材育成です。

テクノロジーの進化

背景として、テクノロジーの進化を下の図のように4段階に分けています。
農耕時代、工業化時代、情報化時代、知能の時代です。

1970年代から始まった情報化時代では情報とデータが重要で、組織は機能別のタテ組織が多く見られました。現在は知能の時代であり、大切なのは従業員一人ひとりのイノベーション力と従業員全員を早期選抜者として考えることです。人材育成の観点から見たポイントは、

  • 個人のパフォーマンス向上
  • スキル強化(アップスキル、リスキル)
  • 従業員のエンゲージメント
  • 管理職のコーチング能力
  • 柔軟な雇用形態

ジョブデザインとAI

もう一つ面白いのは、AIから得られる成果とジョブデザインや業務プロセスの改革の関係を示した図です。簡単に言えば、この4ステップは典型的なもので、ほとんどの会社はまだステップ1の段階です。

この流れから、次のようことが分かります。

  • 現在の仕事をそのままAIにやらせても、大きい成果は期待できない
  • 大きいインパクトを狙うためには、AIとともに働けるよう、業務プロセスを考え直す必要がある
  • 最終的にAIエージェントをフル活用できても、人間には重要な役割が残る

Off Beat Works L&D Trends Map

人材育成に役立つ情報提供サービスを行うオフビートワークスは、見応えのある人材育成トレンド予告のレポートを昨年から出しています。

「オフビートワークスの2025年人材育成トレンドマップ」
https://www.offbeat.works/l-d-trends-map

特徴は全体感と網羅性です。6つのメガトレンドに対して4つの時間軸で分析しており、含まれるキーワードは65個もあります(右図)。
その大量な情報を分かりやすくするために、人材育成担当者に必要な能力が9つにまとめられています。

▼人材育成担当者に必要な9つの能力

セルフスキル

何より大切なのは、テクニカルスキルがメインではないことです。テクニカルスキルより大切なのは、自ら前向きにいろいろ試してみたり大量な情報収集を行ったりしたうえで、分かりやすく整理して伝える能力です。また、人材育成施策をステークホルダーと一緒に考えて企画、実施するコラボ―レーションも必要だと示唆しています。

人材育成の専門スキル

細かい能力としてはいろいろ挙げられますが、共通点は育成施策の成果を高めることです。例えば、問題解決能力を生かして根本的な問題を見抜き、行動科学と脳科学に基づいた行動変容とビジネス成果につながる企画をして、受講者にとって自然で実践しやすいエクスペリエンスをデザインする能力などです。

チームスキル

チームスキルは厳密にいえば組織開発に近いものですが、個人の能力を高めるだけではなく、チームレベルの成長と成果を出すことを目指すのがポイントです。出発点はチームダイナミクスを理解すること、良いチームワークの見本となることです。

Actionable

AIとヒューマンスキル以外のもう一つの2025年のトレンドは、効果と成果、つまり人材育成から得られる効果やビジネス成果の向上です。
ビジネス戦略と人材育成のベクトルを合わせる、ステークホルダーを巻き込む、定着フォローと研修効果測定を強化するなど、いろいろなアイディアがありますが、これについてはラーニングジャーニープラットフォームメーカーActionableの、研修効果を高めるための分析レポートがたいへん分かりやすいです。

Actionableは自社のプラットフォームで実施した1,452社84,903名が受講した6,814回の研修からのデータを分析して、さまざまな観点から研修効果を高めるためのポイントをまとめました。
https://actionable.co/resources/achieving-impact-certainty-annual-report/
なかには、講師対受講者の割合が少ないと研修効果が出やすいなど当然と思われる結果もありますが、レポートによってしっかりと裏付けされている点が興味深いです。

受講者数

下の図のとおり、受講者が少ないほど行動変容の確率が高まります。

注意:「少人数の研修を実施すれば自然と職場で生かせる」というわけではなく、逆に「大人数で研修を実施すると成果が出ない」ということでもありません。ポイントは「人数が多くなればなるほど、しっかりした定着フォローとサポートが必要」ということです。

研修の時間配分

講義や解説、インプットなど情報のシャワーだけでは受講者の行動変容につながらない、と以前からよく言われています。そのため、解説と受講者中心の演習の割合を5:5にしたほうが良いと言う人もいれば、3:7、1:9が良いと言う人もいます。Actionableの分析による、最も行動変容につながる時間配分は以下です。

【90分単元の最適な時間配分】
90分:研修時間(休憩と休憩の間の1モジュール)
20分:インプット(講義時間を短縮するために事前のオンデマンド研修がおすすめ)
60分:アウトプット(演習、振り返り、ディスカッション、ロールプレイなど)
10分:プランニング(職場実践に向けての実行計画やアクションプランの作成)

 

定着フォロー

職場実践を促進するためにリマインダーを送るのはよく使われる手法の一つです。かなり細かい話ですが、下のグラフはリマインダーに対する面白いデータです。
リマインダーはメールで送ることが多いですが、データによるとメールよりSNS(携帯電話へのSMS、チャット、Teams、Slackなど)で送ったほうが10%強程度の成果向上につながります。

もう一つ大切なポイントは、送る時間帯です。(上図)データによると受講者の行動変容に最も影響する時間帯は、
・朝の6〜8時
・夕方の16時以降
理由としては、研修の課題はコア業務と多少離れているケースが多いため、コア業務以外のことに時間をかける余裕がある時間帯のほうが好ましいからです。

クロージング

昨年はAIとヒューマンスキルが人材育成の大きなトレンドでしたが、今年もその傾向は続くようです。その2つ以外のポイントは、人材育成の成果を高めることと研修効果をしっかり測ることです。

つまり、AIへの具体的な取り組みがない、マネジャーのヒューマンスキル強化を行っていない、人材育成の成果を高めていない、効果を測っていないのであれば、人材育成のトレンドに乗り遅れてしまいます。ぜひ、そうならないように気をつけてください。

2025年の人材育成トレンド予測
●AIへの具体的な取り組み
●マネジャーのヒューマンスキル強化
●人材育成の成果を高める
●研修効果を測定する

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https://ide-development.com/

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