失業経験あり人事コンサルによる直球コラム
社員がうつ病になった際、会社が行うべき3つの初期対応
2015.07.22
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まずは病名を確定させる
従業員が精神疾患(うつ病)にかかるケースが企業の問題として顕在化してきています。この場合、従業員側からうつ病と診断されたと診断書を提出される場合と、なんとなく労働効率が低下している状態が長期間続いている社員を企業側が発見する場合の2種類が存在します。
この場合、どちらのケースでも、まず「会社指定」の産業医(産業医が精神疾患に長けていない場合はメンタル専門医)を受診させ、病名を確定させなければなりません。これを怠ると、あとあと「会社に強制休職させられた」「人事に勝手にうつ病に仕立てあげられた」という労使トラブルにも発展しかねません。
次に治療の方法を決める
うつ病あるいは他のメンタル疾患と診断された場合は、次に「欠勤・休職して病を治療するのか」、「通常勤務しながら通院治療するのか」、あるいは「パートタイム勤務にして通院治療するのか」を決定しなければなりません。その判断の結果、「欠勤・休職して病を治療する」場合、よりどころになるのが就業規則です。
就業規則による、「欠勤・休職」の規定に基づき、社員にしっかり欠勤・休職の期間・処遇などを伝えて、できれば説明文章をつけて社員を欠勤・休職させます。就業規則に欠勤・休職の規定が無い場合は、個別に労働契約(欠勤・休職に関すること)を締結して、欠勤・休職させます。規則によらない欠勤・休職命令は無効と判断される危険性もありますので、必ず「規定による」「契約による」、欠勤・休職とすることが重要です。
特に賃金が無給になるのか、減額されて支給されるのかなどの項目はしっかり説明が必要です。そして、復職時の処遇も説明しておくべきでしょう。ただしここでは復職後にどうなるかわからないというケースも多くなると思われますので、原則として現部署・現職に復帰させるが、復職時に病状によって協議の上決定するとしておいた方が良いでしょう。
「傷病手当金」の手続きをする
最後に健康保険の傷病手当金の手続を取ることが必要です。傷病手当金が支給される要件は、以下の4要件を満たしたときに支給されます。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
これらは休業中の労働者の貴重な収入源になりますので、企業の社会保険担当者から休職する労働者にしっかり正確に説明して、安心して療養してもらいましょう。
いかがでしたでしょうか。欠勤・休職させるにも必要な手続は多々あります。これをおろそかにすると、労働者から不当休職と訴えられるケースもありますので、十分注意しましょう。
執筆者紹介
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田中 顕(たなか・けん)(人事コンサルタント) 大学を卒業後、医療系人材派遣会社・広告代理店で人事を担当したのち、密着型人事コンサルティング団体「人事総合研究所」を設立。代表兼主任研究員として、労務相談受付・課題解決に取り組む。得意分野は採用・法務・労務・人事全般の問題解決等、多岐にわたる。
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