「男性の育休義務化」の是非を考える
男性の働き方が変わらなければ、世の中の働き方は変わらない。
2019年に入り、政府が「男性の育休義務化」を検討しているというニュースが出てきました。私はこの施策に「賛成」なのですが、今回は、このテーマへ賛成の理由、今後の課題などについて書いていきたいと思います。
「働き方」の会社を経営している私が、育休義務化に賛成する理由
リモートワークを中心に働き方の経営者として私はこの「育休義務化」について「賛成」の立場です。厳密にいうと「これで十分」とは全く思いませんが、やらないよりやったほうが全然マシであると思っています。
男性の働き方が変わらなければ、世の中の働き方は変わらない
約4年間、「働き方」の会社を経営する中でわかってきた「働き方」を取り巻く課題の一つが「男性の働き方が変わらないと、世の中の働き方は変わらない」ことだと感じています。
これだけ毎日のように「働き方改革」や「女性の社会進出」について報道されたり議論されたりしていますが、多くの男性にとって世の中の働き方の変化は「自分ごと」になっていません。
しかもおそらく「自分の働き方が変わらないといけない」という事実に対して無自覚である場合がほとんどであると感じる場面が多いです。
例えばですが、弊社の働き方や会社組織の話をしてると「素晴らしいですね。ぜひ妻にも勧めます」そう言われることが多いです。もちろん勧めてもらえるのは嬉しいのですが、「いやいや、なんで自分は対象外だと思ってるの?」と。
「リモートワーク」「時短勤務」はフルタイム出勤の下位互換ではない
口では「良いこと」と言いながら、リモートワークや時短などで働くことを、フルタイムで働けなかったり出勤できない人のセーフティネットと思ってませんか?フルタイム、出社で働く人の「下位互換」だと思ってませんか?
もしくはリモートワークやフレックスタイムで働くことを「何らかの福利厚生」と思ってませんか?(残念ながらそう捉えている会社が多いのも事実なのですが、、)
また別の観点では、リモートワークで働いてるというと「家のこともできるし、いいね」とか「ラクでいいね」的なことを言われる人をたくさん見てきています。夫や家族から「家にいるんだから家事もできるでしょ?」的なことを言われてる人も同様です。
これもリモートワーク、家で働くことや時短で働くことを「ラク」とか「オフィスでやる仕事の下位互換」と捉えてる発言ですよね。
つまり、オフィスでフルタイムで働くのが普通であり、それが「通常」。そうじゃない人は働けるのはいいけど、メインじゃないし、自分は関係ない、のような無意識の壁や誤解がかなりある状態です。
「仕事と家庭の両立」は女性だけの役割?
メディアや新しい働き方を広げている会社の打ち出しも良くありません。
仕事と家庭の両立のしやすさ! みたいな打ち出しばかりですし、女性が両立する前提で「家庭があっても仕事できるしいいですよね」といった伝え方、メッセージがほとんどです。(その事業をやってるのがフルタイムの男性だったりするので、違和感に気づかないのかもしれません)
実際に、リモートワークを選択したり、時短で働いたり、育休取ったりする男性って周囲にほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか? かなり珍しいはずですね。
残念ですがそのくらい男性にとってはまだまだ珍しい働き方であり、「自分が働かずに育休を取る」という選択はマイノリティです。
本来であれば男性の働き方がどんどん変わっていくべきなのですが、いきなり大きく変わるのはハードルが高いのも事実だと思います。だからこそ、その一歩として「男性の育休義務化」が推進され、環境や状況に応じて男性も働き方を柔軟に変えること考える機会が与えられるのは、ポジティブなことだと思います。
求められるのは「多様性の理解」と「意思決定者のマインドの変化」
やはり男性が働き方を変えるには、社会の慣習的なハードルも大きいです。カネカやアシックスの問題は顕著な例かと思いますが、リモートワークや時短で働くこと、育休を取ることがメインストリームから外れるように捉えられることも多いのも事実ではないかと思います。
別に「働き方の選択=キャリアの放棄」ではないのに、今はそういう構図になってしまいがちです。
ひとえに、
・意思決定する層が男性中心かつ自分が現役の時の仕事観のまま決定されることが多いこと ・そもそも「男性の働き方が変わらないと社会が変わらない」ことにほとんどの人が気づいていないこと ・キャリア形成の道が1パターンであること |
などが要因として上げられると思います。
「働き方」と「キャリアプラン」を切り離した人事制度にシフトすべき
育児だけでなく、これからは介護をはじめとした要因により「突然フルタイムで働けない」「外出が難しい」といった状況に直面することは全員に起こりえます。それも、ある日突然起こり得てもおかしくありません。
そのような環境の中で、仕事をするための「前提」を正社員であること、会社に毎日通えること、フルタイムで働けること、など今までと同じ条件で継続することは難しくなってくるはずです。
だからこそ、タイミングや状況に合わせて「場所」「時間」「雇用形態」などを柔軟に設計し、それがキャリアプランに影響しない(働き方とキャリアプランを切り離す)という人事制度設計構築にシフトしていかないといけないのではないでしょうか。
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